【婚約中の浮気】慰謝料相場は20万~200万円|請求できる3つの条件と方法


この記事を読んで理解できること
- 浮気した婚約者や浮気相手に慰謝料請求できる条件
- 婚約中の浮気の慰謝料相場と過去の判例
- 慰謝料を請求する3つの方法と自分で請求するときの注意点
あなたは、
- 婚約中に浮気されたら慰謝料を請求できる?
- 婚約中に浮気された時の慰謝料相場が知りたい
- 婚約者や浮気相手に慰謝料を請求する方法は?
などとお考えではありませんか?
結論から言うと、婚約中に浮気された結果、婚約が破談になってしまった場合は、婚約者に対して慰謝料を請求できます。
さらに、婚約者の浮気相手に対しても、婚約していることを知りながら不貞行為をしていた場合は、慰謝料を請求できる可能性があります。
慰謝料の相場としては、浮気されても婚約を継続する場合は20万~100万円程度、浮気が原因で婚約破棄する場合は50万~200万円程度です。
また、交際・婚約期間が長い場合やすでに寿退社している場合、結婚準備の損害などによっては、請求額が増額される可能性があります。
そこでこの記事では、
1章で浮気した婚約者や浮気相手に慰謝料請求できる条件
2章で婚約中の浮気の慰謝料相場と過去の判例
3章で婚約中の浮気で慰謝料に影響する6つの要素
4章で慰謝料を請求する3つの方法と自分で請求するときの注意点
5章で婚約中の浮気の慰謝料請求に関するQ&A
について解説します。
婚約中にもかかわらず浮気されて、婚約者や浮気相手に慰謝料を請求したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1章:浮気した婚約者や浮気相手に慰謝料請求できる条件
浮気した婚約者や浮気相手に慰謝料請求できる条件として、次の3つがあげられます。
- 婚約が成立している
- 婚約者が浮気した証拠・不貞行為の証拠がある
- 浮気相手に故意または過失がある
それぞれ解説します。
1-1:婚約が成立している
婚約中の浮気に対して慰謝料を請求するためには、婚約が成立していることを立証する必要があります。
そもそも婚約とは、恋人同士が「結婚の約束をすること」ですが、結婚する時の「婚姻届」のような法的な手続きはありません。
そのため一般的には、結婚の口約束をしただけではなく、客観的に結婚する意思を明確にした状態を言うため、婚約が認められる証拠を準備する必要があります。
例えば、
- 結納や顔合わせを行った証拠
- 結婚式場の予約・申込書
- 結婚指輪やその注文書
- 新婚生活のための賃貸契約書等
など、婚約が成立していることが認められる具体的な証拠が必要です。
1-2:婚約者が浮気した証拠・不貞行為の証拠がある
婚約中の浮気に対して慰謝料を請求するためには、婚約者と浮気相手に肉体関係(不貞行為)があることを、証明あるいは推認できる十分な証拠が必要です。
例えば、次にあげるものが浮気の証拠として認められる可能性があります。
- 性行為中や性行為直前後の写真や動画
- ラブホテルや不倫相手の部屋に出入りする写真
- 性的関係を示すLINEやメールのやりとり
- ホテルやプレゼントのクレジットカードの明細、レシート
- 不貞行為を認める内容の念書
- 興信所や探偵の調査報告書
浮気の証拠を集めて、実際に不貞行為があったことが明確になれば、婚約者や浮気相手が弁護士を立ててきたとしても、戦いやすくなるでしょう。
1-3:浮気相手に故意または過失がある
婚約者だけでなく浮気相手に慰謝料を請求できる条件としては、浮気相手が「婚約中であることを知っていた(故意)」、または「婚約中であることを知り得た(過失)」ことを示す必要があります。
例えば、
- 浮気相手は同じ会社で婚約は公表していた
- LINEやメールなどのやり取りで婚約を伝えていた
といった場合は、浮気相手は婚約を知っていた、または注意していれば知ることができた証拠になります。
2章:婚約中の浮気の慰謝料相場と過去の判例
婚約中に浮気された場合の、慰謝料相場と過去の判例を紹介します。
慰謝料は過去の判例を参考に決められることが多いため、あなたが今置かれている状況と似ている判例があれば、慰謝料請求が認められる可能性があるでしょう。
2-1:婚約中の浮気の慰謝料相場は20万~200万円
婚約中の浮気の慰謝料相場は、おおむね20万〜200万円程度が目安です。
浮気されたあとに、
- 婚約を継続する場合:20万~100万円程度
- 婚約破棄する場合:50万~200万円程度
が相場とされています。
ただし、婚約の実情や浮気の内容によっては、慰謝料の金額は増減します。
2-2:判例1.賠償額として約400万円を認定
平成24年東京地裁の判例では、婚約期間中の男性Aから、交際相手の女性Bに対して399万9320円の損害賠償請求が認められました。
AとBの婚約期間は約1年でしたが、Bは婚約期間前から浮気相手の男性Cと交際していました。
また、Bは、浮気について否認していました。
判例では、Aの婚約も安易な点があったとして、婚約が破綻した責任の8割がBにあるとしたうえで、AがBに対して支払い済みの結納金300万円から、お返しの時計約50万円を差し引いた金額に80%を掛けた約200万円の賠償金に加え、慰謝料について、360万円相当の指輪を送っていたこと、うつ病による仕事の減収があることを考慮し、200万円と算定し、合計約400万円の損害賠償請求を認めました。
2-3:判例2.賠償額として約360万円を認定
平成25年佐賀地裁の判例では、婚姻中の妻Dから夫Eに対して357万7624円の損害賠償請求が認められました。
EはDとの婚約後に浮気相手の女性Fをメールでホテルに誘っていて、Dがそのメールを発見し婚約中の浮気が発覚しました。
婚約期間が3年と長いことや、引っ越しや結婚式場を予約していたことなどが要因となり、慰謝料は200万円が認められました。その他、引っ越し費用、結婚式のドレス代約150万円が賠償金としてみとめられました。
3章:婚約中の浮気で慰謝料に影響する6つの要素
婚約中の浮気で慰謝料に影響する要素として、次の6つがあげられます。
- 浮気の回数や期間
- 交際期間や結婚準備の有無
- 結婚のための退職の有無
- 妊娠・中絶の有無
- 婚約破棄の有無
- 反省の有無
それぞれ解説します。
3-1:浮気の回数や期間
浮気(不貞行為)の回数が多い、浮気していた期間が長い場合は、婚約者に与える精神的苦痛が大きいとみなされるため、慰謝料の増額要因になります。
浮気の回数は、過去の判例から数回程度(〜3回など)だと少ないと判断され、20回以上の場合は多いと判断される傾向があります。
浮気していた期間は、過去の判例から数ヶ月(〜3ヶ月)程度なら短いと判断され、年単位(1年間〜)の場合は長いと判断される傾向があります。
3-2:婚約期間や結婚準備の有無
婚約期間が長かったという場合は、慰謝料の増額要因になります。
なぜなら、婚約期間が長いほど、浮気による精神的負担が大きくなると考えられるからです。
結婚準備の有無も、婚約中の慰謝料金額に影響します。
結婚準備には莫大な費用や時間がかかっていますし、結婚準備が直前まで進んでいた場合は、経済的負担だけでなく精神的負担も大きいと判断されるからです。
例えば、次のようなケースがあげられます。
- お顔合わせや結納
- 結婚式場の予約
- 結婚後の新居の準備
このような場合には、慰謝料の請求額が高額になる可能性があります。
ただし、慰謝料を増額させるためには、婚約期間の長さや結婚準備を示せる証拠が必要です。
3-3:結婚のための退職の有無
結婚のため退職した後に浮気が発覚した場合は、より高額な慰謝料を請求できる可能性があります。
例えば、結婚後に専業主婦(主夫)になるために仕事を退職したのに、浮気が発覚し結婚できなかった場合は、慰謝料の増額要素になります。
退職していたということは、婚姻を成立させることに高い期待を持っていたと考えられ、その期待が裏切られた場合の精神的苦痛が大きいと思われるためです。
さらに女性の場合、キャリアや年齢の問題から再就職にも影響する場合があります。
退職した婚約者の社会的地位を下げることとなり、精神的負担・経済的負担を与えることになるため、慰謝料の請求額が高額になる可能性があります。
3-4:妊娠・中絶の有無
妊娠・中絶の有無も、慰謝料に大きく影響をおよぼします。
妊娠中の通院費や中絶の費用など、高額な医療費がかかるケースも少なくありません。
妊娠や中絶は、肉体的な負担はもちろん経済的な負担も生じるため、慰謝料が増額される要素になります。
さらに、すでに子どもがいる場合は、育児への影響も大きいことから、慰謝料が高額になる可能性があります。
3-5:婚約破棄の有無
婚約破棄の有無も、慰謝料の請求額に大きな影響をおよぼします。
婚約関係にあるということは、今後の人生を共にすることを誓ったということです。
そのため、婚姻への期待を膨らませている状況で浮気が発覚し、婚約破棄の原因になった場合には、精神的負担が大きいと判断されるからです。
浮気によって離婚した場合に慰謝料が高額になるように、婚約関係が破棄される場合でも高額な慰謝料を請求できる可能性があります。
3-6:反省の有無
婚約者の浮気が発覚した後に、浮気をした婚約者がしっかり反省しているかということも慰謝料に影響をおよぼします。
例えば、婚約者の浮気が発覚し「2度と浮気はしない」と約束したのに婚約者が浮気を繰り返した場合は、高額な慰謝料を請求できる可能性が高いです。
逆に、婚約者が浮気を否定してきた場合は、反省していないということで慰謝料が高額になる可能性もあります。
浮気を謝罪した後、婚約者が本当に浮気をやめているか、しっかり確認する必要があります。
4章:慰謝料を請求する3つの方法と自分で請求するときの注意点
慰謝料を請求する方法として、次の3つがあげられます。
- 書面の送付(内容証明郵便)による請求
- 婚約者や浮気相手との話し合いによる請求
- 民事訴訟による請求
さらに、自分で慰謝料請求するときの注意点をそれぞれ解説します。
4-1:書面の送付(内容証明郵便)による請求
婚約者や浮気相手に慰謝料を請求する方法の1つ目は、書面の送付による請求で、一般的には内容証明郵便で慰謝料請求書を送付します。
内容証明郵便で送付することで、誰が誰に対してどんな内容でいつ送付したのか証明できるため、慰謝料の支払いを促し言い逃れを防げます。
さらに、弁護士に依頼した場合は、弁護士から慰謝料請求書を送ることで、相手に対してプレッシャーを与えられます。
慰謝料請求書の送付によって、婚約者や浮気相手が支払いに応じた場合は、婚約中の浮気問題も早期に解決できます。
4-2:婚約者や浮気相手との話し合いによる請求
婚約者や浮気相手に慰謝料を請求する方法の2つ目は、婚約者や浮気相手との対面による話し合いによって、慰謝料を請求する方法です。
慰謝料の話し合いで、金額や支払い方法、支払期日が決まり交渉がまとまった場合は、合意書を公正証書にすることをおすすめします。
公正証書とは、公証役場において法務大臣に任命された公証人が作成し、その合意書の内容を証明する公文書のことです。
公正証書にすることによって、相手の支払いが約束に反した場合は、裁判手続きを取ることなく給料や財産を差し押さえできます。
4-3:民事訴訟による請求
婚約者や浮気相手に慰謝料を請求する方法の3つ目は、民事訴訟による請求です。
慰謝料交渉によって合意が得られなかった場合は、裁判所に対して訴状及び証拠等を提出し、婚約者や浮気相手と争うことになります。
民事訴訟では、裁判の途中で裁判官のすすめによって和解が成立することも多く、最終的には裁判官の判断によって慰謝料の金額等が決められます。
民事訴訟による請求は、手続きが複雑で提出する書類等も多いため、請求手続きや公判を有利に進めるためには、弁護士への依頼が必須といえます。
4-4:自分で慰謝料請求するときの注意点
婚約者とその浮気相手に自分で慰謝料請求するときの注意点として、次の5つがあげられます。
- 相手の対応を見極める必要がある
婚約者や浮気相手が、不貞行為を認めない、または支払いに応じる意思がない場合は、自力での交渉は困難です。
- 感情的にならない
交渉中は冷静さを保ち、感情的な言動は避けましょう。
- 証拠を確保する
浮気の証拠や示談内容については、必ず記録を残しておきましょう。
- 適正な金額設定
慰謝料相場を調べ、現実的な慰謝料額を設定することが重要です。
- 書面による合意
口頭の約束だけでなく、必ず示談書を作成しましょう。
さらに、自分で交渉する場合の問題点として、次の4つがあげられます。
- 婚約者や浮気相手と直接交渉する精神的負担が大きい
- すでに受けた精神的苦痛に加え、頻繁な連絡によりさらに負担が生じる
- 相手が弁護士を立てた場合、専門知識のない状態では不利な立場に置かれる
- 慰謝料金額や条件が、自分に不利になるリスクがある
婚約者の不貞行為に関する慰謝料請求は、法律的知識と冷静な判断が求められます。
婚約者や浮気相手が素直に応じる場合でも、自分の権利を適切に守るためには専門家のサポートが必要です。
示談交渉を自分だけで進めることに少しでも不安を感じた場合は、早めに弁護士に相談することを強くおすすめします。
5章:婚約中の浮気の慰謝料請求に関するQ&A
5-1:Q1. 婚約中に浮気された場合、慰謝料は本当に請求できるの?
A. はい、婚約中でも浮気は不法行為(民法第709条)に該当するため、慰謝料を請求できます。ただし「婚約の事実」が法的に認められる必要があり、両家の顔合わせや結納、婚約指輪の交換、結婚準備の進行状況などが証拠として重要です。
5-2:Q2. 婚約中に浮気された際の慰謝料の相場はどのくらい?
A. 慰謝料の相場は20万〜200万円程度が一般的です。金額は、婚約の確実性(結婚間近かどうか)、浮気の悪質性、精神的苦痛の程度、証拠の有無などによって左右されます。裁判になった場合、信頼性の高い証拠(LINE、写真、探偵報告書など)があると有利です。
5-3:Q3. 婚約破棄もされた場合、慰謝料はさらに増額される?
A. 浮気が原因で婚約破棄となった場合、精神的ダメージが大きいため慰謝料額は増額される傾向があります。例えば、婚約期間が長い、結婚式場や新居の契約など金銭的損害が発生している場合には、200万円を超えることもあります。
まとめ:婚約中に浮気された時の慰謝料請求と慰謝料相場
ここまで、婚約中に浮気された場合の、慰謝料請求や慰謝料相場について解説しました。
■浮気した婚約者や浮気相手に慰謝料請求できる条件
- 婚約が成立している
- 婚約者が浮気した証拠・不貞行為の証拠がある
- 浮気相手に故意または過失がある
■慰謝料の相場
- 浮気されても婚約を継続する場合:20万~100万円程度
- 浮気が原因で婚約破棄する場合:50万~200万円程度
■慰謝料に影響する6つの要素
- 浮気の回数や期間
- 交際期間や結婚準備の有無
- 結婚のための退職の有無
- 妊娠・中絶の有無
- 婚約破棄の有無
- 反省の有無
■慰謝料を請求する方法
- 書面の送付(内容証明郵便)による請求
- 婚約者や浮気相手との話し合いによる請求
- 民事訴訟による請求
慰謝料請求の手続きや相手との交渉は、あなた一人で行うと大きな手間と時間がかかり、精神的ストレスも大きいです。
弁護士に依頼した場合は、弁護士が代理人として行ってくれるため、あなたの負担は最小限になり、最大限有利な条件で交渉してくれます。